「Amazonにはクーポンのシステムがあるみたいだけど、どう使うんだろう?」
「自分の商品にクーポンを導入する手順が詳しく分かるといいんだけどな」
このような悩みを抱えている出品者は多いのではないでしょうか。
Amazonでクーポンを発行する理由としては、大きく分けて売上アップの可能性や顧客獲得の促進が挙げられます。価格面で悩んでいたユーザーがお得感を理由に購入を決断しやすくなるからです。
クーポンを効果的に活用することで、出品者は認知度向上や販売機会の最大化を狙えるでしょう。
本記事では、クーポンを発行するメリットやデメリット、具体的な発行手順などを詳しく解説します。最後まで読むことで、Amazonにおける店舗運営をよりスムーズに進められるようになるでしょう。
Amazonのクーポンとは?
Amazonクーポン(クーポンプログラム)とは、出品者が独自に設定する割引額や割引率を通じてユーザーにお得感を提供できるサービスです。ユーザーは商品ページに表示される「◯◯%OFF」などの記述をクリックしてクーポンを取得し、購入画面で割引を適用できます。
クーポンによって、少しでも安く買えるならばと購入に踏み切る人が増え、売上向上や新規顧客獲得のチャンスが高まります。自社商品をより多くのユーザーに知ってもらいたい、あるいは競合との差別化を狙いたい場合には、積極的に利用すべきでしょう。
クーポンの発行条件としては、以下のようなものがあります。
- 大口出品のプランを契約している
- 出品者評価が3.5以上または評価自体がまだない状態である
- Amazon上での販売経験が14日以上ある
無条件で発行できるわけではない点に留意が必要です。
Amazonのクーポンを発行する4つのメリット
Amazonのクーポンを発行するメリットとしては、主に以下の4つが挙げられます。
- 実質価格を下げて販売できる
- 商品ページをより多く露出できる
- 購買意欲を促進することで成約率の向上を見込める
- 高評価をともなったレビューがつきやすくなる
実際にクーポンを活用して成約率がアップし、リピーター確保に繋がったケースはいくつもあります。具体的なメリットを以下で解説します。
実質価格を下げて販売できる
クーポンによって購入者の支払総額を実質的に下げることで「お得だから買いたい」という心理を刺激できます。とくにライバル商品と比較検討しているユーザーにとって、クーポンありの商品は魅力的に映るケースが多く見られます。
たとえ数十円、数%の割引であっても、実際の購入判断によって「より安い方を選ぶ」という行動に繋がりやすいのが人間心理です。
たとえば同じ商品スペックでも、クーポンがつくことでセール品のような印象を受けやすく、クリックするきっかけは増えるでしょう。ECサイト運営においては、いかにユーザーを商品ページに誘導し、最終的な購入アクションを取ってもらうかが重要です。クーポンの力でひとまずアクセスを増やすことは意味のある施策といえます。
商品ページをより多く露出できる
Amazonにはクーポンを集めた専用ページがあり、そこを見に来るユーザーは「安く買いたい」という意欲が強い傾向があります。通常の検索に加えてクーポン専用ページからも閲覧されるチャンスが増えるため、商品ページの露出アップが期待できるでしょう。
さらにクーポンを利用して購入するユーザーの数が増えれば、売れ筋商品としてアルゴリズム上の評価が高まり、検索順位が上昇する可能性もあります。
商品を目立たせる方法としてスポンサープロダクトなどの広告を使う手段もあります。しかしクーポンは、直接的に値引き交換をアピールできるため、より購買意欲の喚起力が高い手法といえるでしょう。
クーポン発行による露出強化は、多角的な集客手段として魅力的です。
購買意欲を促進することで成約率の向上を見込める
クーポンは「ここで買っておかないと損をするかもしれない」というユーザーの心理を揺さぶる力を持っています。とくにまだ商品に対する確信が持てないユーザーや、お試し利用を検討している段階のユーザーに対して、一歩踏み込んだ行動を促せる効果が顕著です。
また、Amazonではクーポン取得からすぐに使用が可能で、仮に期間限定であれば「早めに使おう」という意欲が高まります。時間的制約や割引率を訴求することで、ユーザーの購買意欲を直接的に向上させる戦略です。
購入意欲をかき立てる施策としてのクーポンは、ほかのセールイベントとも相性がよく、複数のキャンペーンを同時に行うことでまとめ買いや関連商品購入にも繋げられます。
高評価をともなったレビューがつきやすくなる
クーポンによる割引を提供すると、実際に購入したユーザーが「お得に買えた」という満足感を得られやすくなります。結果としてポジティブなレビューが投稿される可能性が高まることが期待できます。
Amazonでの評価は商品の売れ行きを左右する大きな要素であるため、高評価レビューの獲得は出品者にとって有益です。割引があると、ユーザーは通常価格よりも心理的なリスクが低いと感じやすく、購入後の満足度も上がりやすいといえます。
ただしクーポンを使う代わりに高評価を依頼するような行為は、Amazonのポリシー違反に該当するリスクがあるため注意が必要です。純粋に割引特典によってユーザーに好印象を持ってもらい、自然なレビューを書いてもらうという流れが重要です。
Amazonのクーポンを発行する3つのデメリット
Amazonクーポンの発行は多くのメリットをもたらしますが、当然ながらデメリットも存在します。代表的なものとしては以下の3つが挙げられます。
- 利益率が低下する
- 対象となる商品や利用する資格が限定されている
- クーポンの発行によってイメージがダウンするリスクもある
多くの出品者は、メリットとデメリットを天秤にかけて活用するかを判断しています。デメリットもしっかり把握したうえで、クーポンという販売促進策を採用するか検討しましょう。
利益率が低下する
Amazonクーポンを発行すると、たとえ売上が伸びたとしても割引分と引き換え手数料の存在によって利益率が下がるおそれがあります。
Amazonのクーポン引き換え手数料は1回につき60円で、クーポンが引き換えられるたびに発生します。大きな割引設定をすればするほど商品単価が下がるため、全体の利益を確保するのが難しくなるかもしれません。
とはいえクーポンは実際に使われた回数分だけ費用がかかる仕組みなので、先に大きなコストが発生するわけではない点は安心材料です。
赤字にならない範囲でクーポンを設定し、売上増に合わせて再度クーポンのあり方を見直すなど、調整しながら上手に活用するべきでしょう。
対象となる商品や利用する資格が限定されている
Amazonのクーポンは大口出品のプランを利用していたり、一定のレビュー評価や販売実績を持っていたりする出品者しか利用できない仕組みになっています。なかなかよい評価を獲得できずにいる店舗にとっては、クーポンプログラムを活用するハードルは高いかもしれません。
さらに新品商品であることやマーケットプレイスプライムへの対応など、商品の状態や出品形態にも条件があります。いずれの条件もクリアしないとクーポンを発行できないのは絵に描いた餅のようなもので、デメリットと数えられるでしょう。
まずは自社の出品情報を確認するのが先決です。必要な資格や条件をクリアしてからクーポンを発行すれば、売上は露出を伸ばす大きな武器になります。
クーポンの発行によってイメージがダウンするリスクもある
クーポンが常に発行されている状態だと「いつでも割引している商品は品質が低いのでは?」という誤解を招くおそれがあります。実際には在庫状況や販促タイミングに合わせてクーポンを出しているだけの場合でも、割引前の価格は正当なのかという疑念を抱かれる可能性を否定できません。
実際にAmazonでは、悪質な出品者がセールなどの直前に値上げをし、その価格から通常価格に戻す行為を「大幅セール」のように見せかけるケースが散見されます。Amazonに慣れたユーザーはそのことを知っているため、気前のよいクーポンに警戒心を抱いてしまうことがあるわけです。
さらにクーポンに慣れたユーザーが増えてしまうと、通常価格では買わずにクーポンを待つ行動を取られるおそれもあります。結果として、値引きしないと売れない商品になってしまうかもしれません。
クーポンを使うタイミングや頻度を慎重にコントロールし、商品にブランド価値と一貫性を持たせることが大切です。
Amazonでクーポンを発行する手順
Amazonでクーポンを発行する手順は、ざっくりいうと以下のようになります。
- セラーセントラルのクーポン発行画面に移動する
- クーポンを発行したい商品を選ぶ
- クーポンの割引率や割引価格を設定する
- クーポンの使用回数を設定する
- クーポンに使用する予算額を設定する
- クーポンの名前を設定する
- クーポンの対象となる購入者を設定する
- クーポン発行のスケジュールを設定する
以下に紹介するステップを踏むことで、出品者は自分の目標とする利益率や販売戦略に合わせたクーポンを実装できます。順番に見ていきましょう。
セラーセントラルのクーポン発行画面に移動する
まずはセラーセントラルにログインし「広告」タブから「クーポン」へと進んでいきます。画面に表示される「クーポン作成」というボタンをクリックすると、クーポン設定に必要な入力フォームが表示されます。
ここではクーポンの基本情報を登録していくことになりますが、画面の構成は比較的分かりやすいため、初めての方でも迷わず操作できるでしょう。店舗のブランド方針や目的に合った設定をするための基礎的な作業のスタートとなります。
クーポンを発行したい商品を選ぶ
次にクーポンを適用したい商品のSKUやASINコードを入力して、実際にクーポン対象とする商品を画面右側の枠へ追加します。
バリエーションがある商品は、クーポンを適用したくないものを除外することも可能です。たとえば色違いやサイズ違いの商品が複数存在する場合、特定のバリエーションだけクーポンを発行するといった戦略が考えられるでしょう。
どの商品をクーポン対象にするかは販売戦略によって変わるため、自身の狙いを明確にしたうえで設定しましょう。
クーポンの割引率や割引価格を設定する
商品を選んだら、クーポンの割引率または割引金額を設定します。
少なくとも5%以上の割引を設定する必要があるため、割引率を低くしすぎないように注意しましょう。逆に大幅に値引きしすぎると、利益が大きく削られるだけでなく「安売りしすぎでは?」とユーザーに不安を与えるおそれもあるため、バランス感覚が重要です。
またタイムセールや数量限定セールなど、ほかの販促手法と組み合わせることも視野に入れておくと効果的です。
- 売上拡大を狙う商品は割引率を高めに設定する
- ブランドイメージ維持が必要な高級路線の商品は控えめに設定する
上記のような具合に、商品特性と利益率を考慮しながら最適な割引を決めるとよいでしょう。
クーポンの使用回数を設定する
クーポンをユーザーが何度でも使えるようにするのか、一度だけにするのかを設定します。デフォルトでは複数回使用が可能な状態になっていることが多いですが、新規顧客の獲得に焦点を当てたい場合は1回限りにするのも1つの方法です。
ただリピーターを育てたいのであれば、複数回使用を許可した方が継続購入に繋がりやすくなるでしょう。自社の商品特性や販売目標を見据えて、設定をこまめに変更することをおすすめします。
クーポンをどれだけの頻度で適用するかによっても使用回数の最適解が異なるため、自社の状況を踏まえて最終的な判断を下すとよいでしょう。
クーポンに使用する予算額を設定する
クーポンの予算は割引分と引換手数料の合算で決まるため、想定購入数を試算したうえで設定する必要があります。
たとえば2,500円の商品に400円のクーポンを設定し50人がそのクーポンを利用した場合、割引総額2万円に加えて手数料3,000円がかかり、合計2万3,000円のクーポン費用が発生します。
実際の販売データやアクセス数などを参考にしながら、赤字にならないよう資産を調整することがポイントです。
Amazonでは、予算の80%が使用されるとクーポンが非表示となりますが、約30分間はまだクーポンが引き換え可能となる仕様です。想定を上回る利用が発生するリスクも考慮しておきましょう。
クーポンの名前を設定する
クーポン名にはAmazonのガイドラインがあり、Amazonのイベント名や不快感を与える表現は使用できません。推奨文字数も100文字以内とされていますので、商品名とブランド名をシンプルに含める程度にとどめるのが無難です。
ユーザーがクーポンを取得した際に表示されるものであるため、分かりやすい名称をつけることでクリック率を高める効果が期待できます。たとえば「○○ブランド10%OFFクーポン」のように短くまとめるのがおすすめです。
セラーセントラル上で扱いやすいように名前が整理されていると、複数クーポンを同時運用する際に分かりやすく、あとから見直しもしやすくなります。
クーポンの対象となる購入者を設定する
クーポンの対象には「すべての購入者」が「Amazonプライム会員」のどちらかを選択できます。
プライム会員向けに限定すると、プライムユーザーへの訴求が強まり、購入意欲が高い層を狙いやすくなるメリットがあります。しかし裾野の広さを重視したい場合には「すべての購入者」を対象にした方がアクセス拡大に直結する可能性が高いといえるでしょう。
商品やマーケティング方針によって選択肢が変わるため、自社の商品特性を踏まえて最適なターゲット層を検討しましょう。
クーポン発行のスケジュールを設定する
最後にクーポンの有効期間を設定し、内容に誤りがないか最終確認をします。
クーポンは作成から最短6時間後に有効となり、6ヶ月先までの設定が可能です。しかし開始日時の48時間前を過ぎるとクーポンの延長や予算の増額以外の変更ができなくなります。開始日や終了日を慎重に設定しつつ、登録を完了させましょう。
設定内容に問題がなければ「クーポンを登録」ボタンをクリックしてAmazon側の承認を待ちます。
クーポンが承認されたら、実際の予算消化状況や売上の動きを見ながら都度設定を見直し、適切に運用をつづけることが大切です。
Amazonでクーポンを発行するのに適した商品4選
クーポンはすべての商品に対して有効とは限りません。むしろ特定の用途や戦略で利用すると高い効果を発揮します。
クーポンを発行するのに適した商品としては、たとえば以下の4つが挙げられます。
- 閲覧数が多い割に購入されていない商品
- 売れ筋の商品
- 新たに販売開始した商品
- お試し商品
重要なのは、自社の商品特性や販売目標に合わせていかにクーポンを提供するかを見極めることです。
一方で、カテゴリや商品状態によってはクーポンを利用できない場合もあるので、利用予定の商材についてあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
閲覧数が多い割に購入されていない商品
商品ページのクリック数や閲覧数が高いのに、なぜか成約率が伸び悩んでいる商品の場合は、決め手が欠けていることがほとんどです。そうした際にクーポンを提供すると、割引が最後の後押しとなって購入へ至る可能性を高められます。
興味はあるが価格で迷っているユーザーにとって「クーポン適用による割引」は購買意欲を刺激する大きな魅力だからです。
閲覧数と購入数の差異を分析して、クーポンの価値を最大化させる機械を逃さないようにしましょう。
売れ筋の商品
すでに人気が高い商品にクーポンを適用するのは、一見すると利益率の低下に繋がりそうです。しかしさらなる販売拡大のチャンスという見方もできます。
とくにタイムセールや大型セールの期間に合わせて一時的に割引をかけることで、検索結果の上位表示やおすすめ商品の枠に入ることが期待できるでしょう。
売れ筋商品にクーポンをつけると「いつもは定価だけど今は安く買える」という希少性を訴求でき、普段から気になっていたユーザーが購入に踏み切りやすくなる効果もあります。Amazonランキングの上位に君臨している商品でも、期間限定の特化が設定されていればさらに注目度は集められます。
売れ筋商品でのクーポン活用は「一般的な販促」と割り切り、タイミングを見てメリハリのある設定をするとよいでしょう。
新たに販売開始した商品
リリース直後の商品は、レビューが少ないためユーザーの信頼を得にくいという課題があります。そこでクーポンを利用して初期購入者のハードルを下げると、商品の使用感や品質をいち早く試してもらえる可能性が高まります。結果としてポジティブなレビューが集まることが期待できるでしょう。
実際にECビジネスにおいて、売り始めの重要な時期にクーポンを積極的に活用して知名度を高める手法は定番です。
商品のスペックや特徴をしっかりアピールしつつ、クーポンによる割引で手に取りやすさを演出することで、早期の口コミ形成と売上拡大を狙うことが可能となります。
お試し商品
通常より高価格帯の商品や、ユーザーにとって未知のブランドの商品を「お試し価格」で販売する際にもクーポンは有効です。クーポンによって初回購入時のハードルを下げておけば、とりあえず試してみたいというニーズを取り込みやすくなります。
クーポンによって購入し、使用感や品質に満足したユーザーは、次回以降もリピート購入してくれる可能性が高いといえるでしょう。Amazonには定期おトク便などの仕組みもあるため、お試しユーザーがリピーターに転換してくれれば、長期的な売上増が期待できます。
クーポン適用時の価格設定が適切であれば、多くのユーザーに利用してもらいやすくなり、今後の販売実績やレビュー獲得へと繋げられるでしょう。
まとめ
Amazonクーポンを発行すると、商品価格の割引を通してユーザーの購入意欲を直接刺激できるため、新規顧客の獲得や売上拡大を期待できます。一方で、利益率の低下やブランドイメージの維持といった面で注意が必要です。
重要なのは、自社の商品ラインナップや目指すブランディングなどを踏まえて、最適なクーポン戦略を組み立てることです。閲覧数は高いのに購入が伸びない商品や売れ筋商品など、それぞれにあったクーポン活用の方法を考えれば、恩恵を最大限に受けられるでしょう。
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